【おくすり】ラツーダについて
ラツーダは、双極性障害のうつ状態に認可されている数少ない薬のうちのひとつで統合失調症の改善にも効果があります。SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)に分類されます。副作用が比較的少なく、1日1回の服用で効果が見られます。
ラツーダについて
ラツーダは、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)になります。2010年にアメリカで承認され、2013年には双極性障害のうつ状態にも適応が認められています。日本でも臨床試験が何度か行われていて、2020年3月に両方の適応が認められました。
【精神科医が解説】ラツーダの効果と副作用 | こころみ医学元住吉こころみクリニック【内科・呼吸器内科・心療内科】
ラツーダは、ドパミンだけでなくセロトニンもブロックすることで、過剰なドパミン遮断を和らげるお薬になります。このため、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)と呼ばれています。
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医薬品基本情報
名前 | ラツーダ錠 |
種類 | 20mg 40mg 60mg 80mg |
主成分 | ルラシドン塩酸塩 |
剤形 | 白色~帯黄白色の錠剤 |
薬効分類 | 精神神経用剤 |
製薬会社 | 大日本住友製薬株式会社 |
作用と効果
脳内の神経伝達物質(ドパミン、セロトニンなど)のバランスを整えることにより、強い不安や緊張感、意欲の低下、気分の落ち込みなどの症状をやわらげます。
くすりのしおり | 患者向けわかりやすい情報
通常、統合失調症や双極性障害におけるうつ症状の改善に用いられます。
用法・用量
統合失調症:成人は1日1回食後、1日最大量は80mgです。
双極性障害におけるうつ症状の改善:成人は1日1回食後、20mgを服用することから始め、増量する幅は1日量として20mgとし、1日最大量は60mgです。
いずれの場合も、必ず指示された服用方法に従ってください。
- 空腹時に飲むと期待した効果を得られないことがあるため、食後に飲んでください。
- 飲み忘れた場合は、気がついた時点で食後または軽食をとった後に1回分を飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は服用しないで、その後は指示された時間から飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
- 誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談してください。
- 医師の指示なしに、自分の判断で飲むのを止めないでください。
副作用と注意
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがありますので、自動車の運転や危険を伴う機械を扱わないようにしてください。
- アルコールは薬の作用を強めることがありますので、注意してください。
- グレープフルーツジュースなどのグレープフルーツを含む飲食物によってこの薬の作用が強くあらわれることがありますので、本剤の服用中は摂取しないようにしてください。
- セント・ジョーンズ・ワートを含む食品は、この薬の作用を弱めることがありますので、本剤の服用中は摂取しないようにしてください。
後発品について
ラツーダは2020年に発売された薬なので、10年ほど先の特許が切れた頃に「ルラシドン錠」として発売されるでしょう。
ラツーダの作用の仕組み
ここではラツーダの作用の仕組みについて自分なりに解釈しておこうと思います。自分なりにかみ砕いていくので、医学的には違う可能性もあります。ぜひ検索して読んでみてください。
双極性障害の原因
双極性障害の原因は、まだ解明されていません。 しかし、この病気は精神疾患の中でも最も脳やゲノムなどの身体的な側面が強い病気だと考えられており、ストレスが原因となるような「こころ」の病気ではありません。 ですから、精神療法やカウンセリングだけで根本的な治療をすることはできません。
双極性障害(躁うつ病) 発症の原因・患者数について – めぐろ駅東口メンタルクリニック|ストレス、うつ病、心療内科|めぐろ駅東口メンタルクリニック
躁やうつの原因は、脳内の情報伝達の乱れによると考えられています。ストレスはきっかけにはなりますが、直接の原因ではありません。治療薬の作用などから、躁状態、うつ状態では、ドーパミンなどの脳機能を全般的に調整している神経伝達物質の機能が変化していると考えられています。
躁うつ病の手引き
以上の引用から、ストレスなどはきっかけに過ぎず、情報伝達物質の乱れが原因と考えられているようです。
神経伝達物質とは神経細胞間で情報や信号が伝達されるときに放出される化学物質で、それに対応する受容体が受け取ります。神経伝達物質には、アセチルコリンやノルアドレナリン、セロトニンなどを含め、少なくとも100種類あるといわれており、脳内で量がコントロールされていますが、このバランスが崩れた時にさまざまな病気として現れます。
受容体とは標的器官の細胞膜や細胞質内にあるタンパク質で、親和性を持つ神経伝達物質やホルモンなどの生理活性物質が特異的に結合することにより細胞に情報を伝え、生理活性物質特有の反応を引き起こします。薬と結合して生体反応を起こす受容体もあります。成分によって結合する受容体が決まっており、薬の成分によって薬理作用を発揮する仕組みになっています。
ラツーダがしてくれること
ラツーダは神経伝達物質の「セロトニン」「ドパミン」に作用するお薬です。拮抗薬と言って、受容体と神経伝達物質が結合するのを妨げる作用をします。
特に、ドパミンD2受容体、5-HT2A(セロトニン2A)受容体への完全拮抗作用が統合失調症の症状の改善に役立ちます。
さらに、5-HT7(セロトニン7)への高い親和性と拮抗作用で、認知機能の改善および抗うつ作用に関与していることがわかっています。5-HT1A(セロトニン1A)受容体に対する部分拮抗作用により、 不安・抑うつの改善が期待できます。
参考情報サイト・参考文献
久保鈴子,カラー図解薬理学の基本がわかる辞典,西東社,2011.
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