ゲーム音楽の祭典、東京ゲームタクト2018に行ってきた
これ、前にも書いてたんだけどリライトしておこうと思う。東京ゲームタクト2018に行った話。
東京ゲームタクトとは
一応、自分なりに説明しておく。東京ゲームタクトとは、ゲーム音楽に携わる方々が中心となって作り上げている"ゲーム音楽"のためのお祭りである。"ゲーム音楽"であるならスマホアプリでもいいし、FCやSFC、アーケードなどの古いものでも取り上げる。
作曲家や演奏家が直接関わっており、多ジャンルのゲームの曲を生演奏で聴くことができる。
“ゲーム音楽"が好きであり、好きなタイトルが関わっているならば是が非でも一度は行ってほしい。また、ゲーム音楽が好きで知らない楽曲に興味があるような方はどの公演に行っても楽しめることを保証できる。
感想が思ったよりも長いので注意。
東京ゲームタクト2018
私が行った公演は以下。
大ホール
- 吹奏楽で響かせるバトルBGM史
- オーケストラで奏でる名作RPGの音楽
- 室内楽で聴く近年話題のゲーム音楽
小ホール
- 歌とピアノで紡ぐゲーム音楽~霜月はるか&谷岡久美コンサート~
展示室
- 霜月はるかのFrostMoonCafe#ゲームタクト支店
- がくや
大ホール公演ではプロの演奏の他に、ゲームタクトのために全国から集まった有志も加わって演奏される楽曲もある。吹奏楽から室内楽、オーケストラとバラエティー豊かで、アレンジや演奏にも熱がこもっていた。もちろん、楽曲もいろいろなゲームから演奏されており、バトル、フィールド、イベントといろいろなシーンに流れる楽曲たちが演奏された。ボーカル曲もあり、インタビューもあり、休憩もあるので窮屈な感じもない。ゲスト奏者が入ったり、指揮を作曲者自らされたりと、見ていても楽しく貴重な時間を味わえた。
展示室ではいろいろな方がトークしており、貴重な話を聞けたり、世間話だったりととても楽しい時間を過ごせた。こちらは無料で見に行くことができた。
吹奏楽で響かせるバトルBGM史
- ロックマン2
- ストリートファイター2
- ロマンシングサガ3
- 討鬼伝
- サウザントメモリーズ
- モンスターストライク
- グランブルーファンタジー
- モンスターハンター
以上のシリーズからバトルBGMが演奏された。
RPGばっかりやっていたので「バトル」と聞くとどうにもRPGしか思い浮かばなかったのだが、ロックマンのようなアクションはほとんどがバトルであるし、ストリートファイターのような格闘ゲームももちろんバトル三昧である。討鬼伝・モンスターハンターのような3Dアクションの「狩り」もまたバトルである。スマートフォン用アプリだってもちろんバトルは存在する。
バトルと一口に言ってもいろいろな種類があるのを痛感した。
バトルにも種類がある。いわゆる、ボスと戦うときに流れるような曲や通常の戦闘曲、アクションゲームのステージ曲に、勝利のファンファーレもバトル関連だ。
さらに、バトルに挑むキャラクター達の心境もバトルBGMに反映されることもよくある。荘厳な感じであったり、悲しい曲であったりと本当に多様だ。
さらにロックマンのようないわゆる3音の時代から、音楽に対する制約がほぼなくなったような時代まで年代も様々だ。
ゲームの種類という意味でも、曲の種類という意味でも、多種多様なバトルBGMが集まった公演であった。
また、吹奏楽演奏にとても特化したような曲たちであったとも思っている。アレンジはもちろんだが、選曲などもとても考えられていたのではないだろうか。
自分の感想を少し語らせてもらう。一番楽しみにしていた曲はロマンシングサガ3の「四魔貴族バトル」であった。原曲は年に1度は必ず聞いているのではないかというくらい何度も再生していると思う。ゲームだって時折やりたくなるし、今はVCの購入を検討しつつリメイク・移植を待っている。今回の公演で演奏された中では特別に思い入れがある楽曲だ。そう易々と初めて聞いた時の感動を超えまいとは思っていた。
それとは逆に、"生で聴く"ということに対しての特別な期待もしていた。生演奏というのは理屈じゃない。そこに至るだけの月日をかけ、情熱を傾けてきたことは聴いていれば、見ていれば伝わるものでもある。また、そのゲームが好きな人たちについて指揮の方も、「すごい期待されている」ことは承知の上でだったと語っていた。
つまり、どんな演奏だったかというと「当時の気持ちと記憶を鮮明に蘇らせ、その興奮をさらに高めてくれる素晴らしいもの」だった。単純に演奏のテクニックだけではここまで気持ちを昂らせるような演奏はできないと思う。今後、「四魔貴族バトル」をはじめ演奏された楽曲たちを聴けば、きっとこの演奏を聴いた感動も思い出すことであろう。
そのほかの演奏も素晴らしかった。次のゲームタクトもブリッツ フィルハーモニックウィンズさんの演奏と指揮者の松本宏康さんに演奏していただけたら嬉しいと思っている。
オーケストラで奏でる名作RPGの音楽
- MOTHER2
- 大神
- グランディア
- クロノ・トリガー
- クロノ・クロス
- ファイナルファンタジーシリーズ
- ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル
- ペルソナシリーズ
- ポケットモンスター赤・緑
- ラジアントヒストリア
- ラジアントヒストリアパーフェクトクロノロジー
- WILD ARMS 2nd IGNITION
以上のゲームの楽曲が演奏された。「名作」と銘打っているだけあって聞いたことがないタイトルはない。RPG好きなら触れたり聞いたことがあるゲームばかりだ。
特にこの公演はゲームタクトのために全国から集まった有志たち、ゲームタクトオーケストラが演奏した。素人ばかりというわけではないだろうし、このゲームタクトのために何度も東京に来て練習を重ねたということは想像に難しくない。そんな、ゲーム音楽を愛する彼らの演奏はさすがと言える。
大編成での大迫力の演奏だった。また、作曲家自ら指揮されたり、演奏に加わったりととても楽しそうであり、こちらも笑顔になれるような演奏だった。まさに"「音」を「楽」しむ"といった感じだ。オーケストラ編成なのでどんな楽曲でも演奏できてしまうのが魅力である。ゲスト奏者もたくさん参加して"お祭り"感が出ていた。
RPG好きの私としてはどの楽曲も捨てがたいし、期待していた。まったく知らないものはなく、数タイトルはプレイしたことがないが見たことや聞いたことはあったため期待も高かった。
驚くべきことに、この公演ではスクリーンにタイトルロゴやムービーが再生された。吹奏楽のほうでもやってほしかった。
どの楽曲も甲乙つけがたいくらい素晴らしいものであった。だが一つだけ選ぶとしたら、ポケモンメドレーである。あのGBのピコピコがあんな風にオーケストラで演奏されること自体が素晴らしいことだと思った。今やポケモンといえば日本にタイトルすら聞いたことがない人はいるのだろうか。ピコピコからの生演奏に関しては吹奏楽でも多少似たことは思ったのだが、「ポケモン」には思い入れが深すぎてこちらで主に語ることにする。
当時、初めて自分だけのゲームを手に入れた。今でもよく覚えている。誕生日プレゼントだった。発売日はまだ遠かったが、「ポケットモンスターピカチュウ」のゲームソフトを予約してもらった。そうしてようやく初めて手に入れた自分だけのゲームで昼夜遊んだ。はじめはゲーム機がなく、SFCが空いている間に進めたりしていたが、後日ゲームボーイカラーを手に入れ、さらに没入していった。クリアしたかどうかは覚えていない。セーブデータは自分だけのものだし、ゲーム機も自分だけのものだから誰かがゲームをしていても関係なく遊べるし、一緒に遊ぶことだってできた。そのセーブデータで捕まえたポケモンも「自分だけ」のものであった。とてもかわいがっていた。シオンタウンに初めて入ったときは怖すぎて泣いたし、ポッポがピジョットにまで進化したときは大はしゃぎした。全部ゲームの中の体験だが、自分だけの体験であったしゲームの主人公はまさに自分だった。
ゲームタクトに行く前にある程度の楽曲を聴ける分先に聞いてはいたのだ。一気に全部のCDを買うことは不可能なのでレンタルショップなどに行って借りてきたり、いくつかの楽曲をダウンロード購入したりはした。ポケモンも借りて聞いていた。もちろん耳にタコができるくらいゲーム中に聞いているので予習は必要ないくらいではあった。
でも、その予習の時にこんなに当時のことを思い出せたか、と考えるとそこまでではない。誕生日に「ポケモン」を買ってもらってすごくうれしくてわくわくした気持ちまでは思い出せなかった。「ポケモン」をやっていた時の街の風景やポケモンバトルは思い出せたが、当時の自分の感情までは思い出すことはできなかった。
おそらく理由はいろいろあるが、「聴く」ことだけに専念するような時間を持てなかったこと、演奏者の熱や観客の熱に当てられたというのが大きな要因であると思う。
正直、ゲームタクト当日はポケモンが演奏されている間ずっと泣いていた。感動もあるが、郷愁のようなものも感じていた。また、メドレーでストーリーをなぞっていくスタイルであったから、記憶が洪水のようにあふれ出していた。すぐには整理できなかったが、大切にしまいすぎてどこかになくしてしまったものを取り戻させてもらった。また、今回の演奏でより大切なものに昇華した。
あの頃、ゲームというものはピコピコの電子音が普通だった。それでもプレイしている本人にとってそれは、トランペットだったり、フルートだったりサックスだったりする壮大なオーケストラなのだ。それが、夢にまで見た光景と音の波が、いやそれ以上の音楽がそこにあったのだ。あれで感動せずに何で感動するのか。
余談ではあるが、「ポケットモンスターLet’s GO ピカチュウ/イーブイ」発売がとても楽しみである。どうやら「ポケモンピカチュウ」がアニメに沿った展開であったように、今作もアニメがベースなのではないかと思っている。私にとっての初めてのポケモンがピカチュウであったため、すごくタイミングよくオーケストラ演奏を聴けたことになる。嬉しい。
もちろん、長年ファンである下村陽子さんの楽曲やなるけみちこさんの楽曲、霜月はるかさんの生の歌などファンとしてもうれしい演奏も多かった。また、nintendo switchでの発売を心待ちにしている「大神」の楽曲、RPGのファンとして「クロノ・トリガー」の楽曲、友人にファンが多い「MOTHER2」の楽曲などとても聴けて良かった楽曲だらけであった。
室内楽で聴く近年話題のゲーム音楽
- ゼルダの伝説シリーズ
- モンスターストライク
- アナザーエデン時空を超える猫
- 逆転オセロニア
- グランブルーファンタジー
- 消滅都市シリーズ
- ファイナルファンタジーXV
ここはFFXV楽曲を期待していた。ゼルダシリーズはやったことはなかったのでちょっと楽しみくらいであった。スマホゲーはほとんどやったものはなかったので、作曲者が谷岡久美さんなオセロニアを期待していた。
スマホゲーは実際にプレイしないと楽曲を聴く機会がなかったので、Youtubeなどの動画で予習をしていた。驚いたことに、何作もサントラが発売されており、人気も高い楽曲が多い。スマホゲーって、ほとんどマナーモードでゲームするから音楽聞けないのが悩みだし、スマホでよく調べものするのであまりプレイできないって印象だったのだが、みんなよく聴いているしプレイ人口も多いのを感じた。インタビューなどでも触れられていた気がするが、スマホで普段ゲームをやらない層にもゲームが浸透しているという話もあながち嘘ではないようだ。スマホのゲームはCMも頻繁に放映されている(特にグラブル)し、現代人には馴染み深いのかもしれない。
FFXVはインタビューで下村陽子さんからとてもうれしいありがたい言葉を聴けたのですごくうれしくなった。下村陽子さんもゲームをプレイされる方であるのだが、FFXVのストーリーを知ったうえで主人公ノクティスを鼓舞するような内容のコーラスを書かれた話があったのだ。
FFXVはいろいろと思うところがある作品ではあるが、主人公のことは嫌いにはなれず、むしろ悩んだり考えたり、ときには人に当たってしまうこともある、人間的なキャラクターが私の中では好印象だった。友人のような気持ちでゲームをしていた。シナリオの結末は、ノクティスが愛する世界を自らの命をもって守る、という悲しいものではあるし、そのことがゲーム中で何度か示唆されていて、なんとなく彼自身も気づいていたんだろうとは思っていた。そんな残酷な運命でも、前へ前へ進む彼を鼓舞するようなコーラスで彼を応援してくれていたということがとてもうれしかった。
また、スマホアプリの中ではモンスターストライクが印象的であった。予習していた時も思ったがもっと違うような楽曲だと思っていた。スマホアプリの楽曲もすごいんだぞと認識を改めたいし、桑原理一郎さんという作曲家に興味を持った。幅が広すぎる。
この公演で気になったボーカリスト、演奏家、作曲家は多すぎて正直感想は書けば書くほど増えていくと思うが、特に気になったものだけに絞らせてもらった。どの楽曲も素晴らしく、演奏も素晴らしかった。ここでもスクリーンでムービーが流れていた。アプリも面白そうだけど、やはりゲーム専用スマホが必要だと思う。
歌とピアノで紡ぐゲーム音楽~霜月はるか&谷岡久美コンサート~
谷岡久美さんのピアノ1本と霜月はるかさんの歌声+αでのしっとりコンサートだった。霜月はるかさんは持ち歌が多すぎるので、霜月はるかさんのライブに行っても私はカバー曲は聞いたことがなく、今回初めて聴くことができた。
中でも「ICO」の楽曲が個人的に気に入っている。ICOとワンダと巨像はやってみたいとは思っているゲームの一つで、たまたまレンタルショップで見かけたのでサントラだけ聞いたことがある。ICO-You were there-は本当に美しい楽曲で、気に入っているので霜月はるかさんの歌声で聴けるなんて夢にも思っていなかった。
霜月はるかさんの楽曲の中ではElement of SPADAが嬉しかった。全国ツアーの時以来聴く機会がなかったし、ピアノでのアレンジでしっとりとしていて良かった。
正直、霜月はるかさんと谷岡久美さんの組み合わせなら、どんな曲が来ても嬉しいと思うし、どの曲も素晴らしかった。
谷岡久美さんの楽曲は甲乙つけがたいくらい3曲とも素晴らしかった。ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクルの楽曲のカゼノネ、星月夜は原曲を歌っている方と霜月はるかさんの声とでイメージが違うのだが、こういうカゼノネと星月夜もすごく良かった。また、谷岡久美さんの作曲家20周年のアルバムの楽曲を生演奏で聴く機会がなかったのでとても嬉しかった。発売記念イベントとかなかなか行けないので貴重な機会であった。
谷岡久美さんのピアノでの楽曲アレンジがとても好きで、結び音リボンの抽選のアコースティックライブやティンダーリアの種のアコースティックアルバムもすごく好みであるので、どんどんこの組み合わせでいろんな楽曲を聴きたいと思っているし、聴けるなら飛んでいきたい。
霜月はるかのFrostMoonCafe#ゲームタクト支店
霜月はるかさんのラジオ番組のゲームタクト支店。こちらはラジオ内でも公開されている。
霜月はるかさんのラジオではよく作曲家や演奏家、ボーカルなど音楽やゲームに関わっている方が多くゲストとして招かれており、自身のアルバムが発売される前後はアルバムについて掘り下げていったりもする、ファン必聴のラジオである。
作曲家さんや他のアーティストさんとのクリエイターならではのトークが魅力である。現在はYoutubeでの動画配信もあり、様々な媒体から視聴が可能である。何かの作業のお供にも良い。
公開録音とはまた違うような、目の前でラジオ収録が行われているような感じであった。ゲストが多く豪華で、また個性豊かであるので普通に面白かった。次回もぜひゲームタクト支店があると嬉しい。
私は単純に霜月はるかさんという人物を尊敬しており、話しているだけでも相当満足なのでトークイベントもっと行ってみたい。
がくや
なんと、この時間帯の本来の楽屋はカギがかけられてしまい、展示室を楽屋の代わりにするというステージ。作曲家や演奏家のフリートークと何にも発展しない話が最高に面白かった。
ちょいちょいする販促も面白いし、気になった。この時はすでにいろいろとCDを購入した後だったので控えてはいたが。来年もこんなに楽しいゲームタクトというゲーム音楽のお祭りが開催されてほしい。
次回開催
実はすでに公式サイトで次回開催について書いてあった。2019年6月大田区民ホール・アプリコにて開催予定らしい。2018と同じ会場であり、駅からも近いので道に迷う等はなさそうだが、開催がGWではなくなったのは少し残念である。来年も行きたい。
感想
ゲーム音楽三昧の最高な2日間だった。今回この記事で触れていないタイトルに関しても並々ならぬ感想を持っているが、血で文章を書くような感情との闘いであるので省かせていただいた。どの演奏も本当に素晴らしかったし、「がくや」「霜月はるかのFMC#」などのトークイベントもとてもよかった。
ゲームタクトの予習用のCDとか、ゲームタクトでしか販売されない色々なゲームの音楽が収録されたCDとかゲームタクトでの演奏が収録されたCDとかゲームタクトのいろいろな公演が収録されたDVD/Blu-rayとか発売されたら面白いなんて妄想している。権利とか難しいからないだろうけど。
いろいろなアニメの主題歌が収録されたコンピレーションアルバムなんてものがあるくらいだからあってもいいのに。
ゲーム音楽好きなら一生に一度は足を運んでおくべきだと思う。
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